南郷力丸がすきなんです。2013年12月01日

 昨年の春先からうちの稽古場に出入り(?)しているちょっと珍しい2歳児がいます。

 

1歳8ヶ月ぐらいから偶然テレビでみた歌舞伎にはまり、それから能、狂言などにも興味をしめし、毎日歌舞伎のDVDをみせてくれとせがみ、はや5ヶ月というところでお母さんに連れられてうちの稽古場にやってきました。

最初は周りの大人の影響かしらと思いましたが、お母さんにきくと全くご家族に趣味はなく、ただただ子供の興味のままに図書館で歌舞伎のDVDを借り てきてみせていたらしいのです。 どうせすぐ飽きるかと思っていたら、ぜんぜん飽きないので踊りでも習わせたらどうかということになり、はるばる川口から私のところに連れてきたとのこと。 始めてきた日は人見知りして玄関で立ち往生しながらも三味線の音につられて帰ることもせず、お母さんをてこずらせていました。

 


それでもめげずに少しずつ稽古場に慣れてくると、小道具の刀や傘をみて目を輝かせ、試しに傘をもたせると、5人男の稲瀬川勢揃いの場面の花 道の出のかたちをやってみせるのです。傘をさしたり、まわしたりする子はいても前につきだして片方の手を懐手にする子はいませんから私にはすぐわかりまし た。思わず、「弁天小僧かしら?それとも日本だ衛門?」といったら「力丸」というのです。5人男のなかではマイナーです。
さらに、彼は細かいかすりの浴衣がお気に入りでお母さんいわく、 「ほんとはもっと可愛い柄きせたいんですけど、これ片岡片岡といってきかないんです。」とのこと。
「もしかして伊勢音頭の福岡貢みせた?」
「そうそうそんなのみせました」お母さんは歌舞伎の演目に詳しくない。彼は仁左衛門の貢をみてすっかりファンになったらしいのです。

 

確かに私も子供のころから歌舞伎ファンで、守田勘弥の福岡貢に恋してましたけど、一応11歳にはなっていましたよ。

 

とはいっても2歳3ヶ月やそこらではあまりにも月齢が低く、お月謝をいただいてのお稽古は先のことにして、お稽古場出入り自由という特別待遇で半年間様子をみていました。お母さんにはなるべくふつうの子の遊びもさせてくださいねとアドバイスしながら。

 

さて、半年たっても彼の歌舞伎熱覚めやらず、10月から一応お稽古の形をとる運びとなりました。今は、ねずみの踊り(仁木弾正のねずみです!)をやりたいとかいって私を困らせてます。
いつかオーラのいずみにだして彼の前世を聞いてみたいと思っています。

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