世の中がかわっていくのでしょうか

昨年から(公社)日本舞踊協会の公演制作委員の仕事や日本舞踊保存会の仕事などお手伝いすることになり、通常の仕事に加えて目まぐるしい年末年始となりました。

舞踊協会公演は毎年二月に国立劇場大劇場で開催されておりましたが、昨秋国立劇場がクローズとなり浅草公会堂での開催となりました。歌舞伎や日本舞踊に特化した劇場ではなく台東区の公会堂での開催は演目も限定され、制作としては手間暇かかる準備が必要でした。

国立劇場のクローズを目前に、昨年七月に日本舞踊が重要無形文化財に認定され保存会が立ち上げられました。そして今年三月には古い演目を伝承者が若手中堅に伝承するための公演が渋谷の伝承ホールで開催されました。こちらもまた日本舞踊に適してはいない小さなホールです。内容は充実したものでしたが少し残念な気持ちになりました。

建替えるはずの国立劇場は当初の計画の甘さから入札が不調におわり全く目途が立たず向こう十年新しい国立劇場はのぞめないように思います。文化庁の重要無形文化財認定はありがたいのですが日本舞踊家にとりましては今、発表の場を取り上げられたような状態です。

毎年桜の季節には国立劇場前はお花見の人でにぎわい、枝垂れ桜も見事でした。今は劇場前の樹木も手入れされていません。そのような状態を目にすると、この国の自国の文化の行く末が案じられます。

若かりし頃国立劇場で開催されていた新春舞踊大会(若手の登竜門のコンクール)で一喜一憂したことが懐かしく思い出されます。あの頃の熱い思いは今でも決してかわっていないのですがね。

以津緒

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